ビターで微糖なお話を

ビターな想い出

指定校推薦で入学した共学の私立大学へは実家から通うとなると片道２時間半はかかる。

高校時代よりも早起きだなんてと不平不満を言いたいけど、大学受験を避けて選んだようなものだから文句は言えない。

だけど。

バイトだってしたいし、友達とだって遊びたい！

１日の５時間を電車で過ごすことがどれだけもったいか、そして月にかかる通学費はどれだけなのかを算出して両親にプレゼンをした。

更に私はどれだけ安く家賃を抑えられるかを考え、同じように一人暮らしをしようかと悩んでいたユキにルームシェアの話を持ちかけたのだ。

そして最終的に選んだのは、管理費込みで月58,000円、折半すると29,000円で住める古びたこの部屋だった。

畳の上に薄いカーペットを敷いたとしても、何度かリフォームしたんだろうと丸わかりな壁だとしても、私にとってみたらこの部屋は天国だ。

ベランダに出られる大きな窓に吊るした茶色のチェック柄のカーテンが自慢の、私のお城だ。