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「俺やっとわかったんや。一人とか、ハナ以外の人と組んだりして、今までもの凄く楽やったんや、って気付いた。意識せんでも息は合うし、やっぱ俺、ハナ以外は考えられへん」
「……そんで言いたいことって何やの」
我慢できずにハナは言った。
この次にどんな言葉が続くのか、怖くて一気には聞けなかった。
ハナ以外は考えられない、でも。とはいえ。だけど。
その先がどうつながっても、コンビを解消されるとしか思えなかった。言われても仕方ないことは重々わかっている。休んでもう数か月が経っていた。ヒロはその間、全部を一人で背負ってる。
だが、ヒロは間髪いれずに言った。
「え? それだけや!」
「お前、そんだけ言いにわざわざ仕事の合間に来たんかいな」
「そう」
ハナは呆れてヒロの顔をみた。
「アホや」
「何や、人が真面目にいっとるのに。めっちゃ大事なこと言ったで俺。一世一代ぐらいの気分で報告に来たのに」
「ありえへん」
ハナふいにうつむいた。ヒロは笑われたような気がしてもう一度口を開きかける。
そのとき、ふいにハナが抱きついてきて、その首にしがみついた。
「ホンマありえへん、そんなんアホやって」
ヒロは目を白黒させて、それでもハナを抱きとめる。
「何するんや、危ないやないか」
「――――――――――――僕、こんなんやで?」
ハナの声は、痛いような切実さに溢れていた。
「ハナ……?」
「こんなのがええなんて、どうかしとるで。ずっとこのままなのかも知れへんのに」
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