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おそらく賢明な読者さまはお気づきであろう。
ハトに悪意はない。むしろハトは無類の団結力で、この覚束ないカップルを全力で応援しようとしている。
一体何してるぽっぽー!
ここからが見せ所ぽっぽー!!
成就を願ったハトたちは、そこからの子孫繁栄も望んでいた。野生の動物にしてみたら、繁殖の目的はただ一つ。いちゃつくだけで終わりではないのである。
その力強いホバリングは授かりものを祈念する応援エールだった。ハト語ではこうなる。
タマゴ! ぽっぽー! タマゴ! ぽっぽ―!
……無理だ。(天の声)
が、しかし。そこは残念ながらハト、いまいち人間の種族的営みの詳細はよくわかっていないのだ。
そして頭突きをしてきたハトは、かつて植え込みから飛び出してきたドジっ子ハトで、野次馬根性丸出しで窓ガラスに張りつこうとしたら、うっかり開いていて突き進んでしまっただけなのだ。
とはいえ、このハトによる一生懸命すぎる働きかけがアダとなり、二人は危うく妖精になりかけていた。
だがクリスマスならば奇跡が起きるのではないか。
ヒロはつまり、この世界的行事にラブの行方を賭ける意気込みなのである。
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