いつでもとなり

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*******  完璧やぁ……  ハナはテーブルに並べられた50羽あまりのフェルトのハトに溜息をついた。  壮観である。それはボロッちい大福からおすましハトへの華麗なる飛躍。始めの一羽から格段に進歩した出来栄えである。  徹夜の甲斐あってあとは目をつけるばかり。いまやハナは型抜き、ボンド、綿詰めと、一連の作業に熟練していた。 「目ぇなあ。藍野さんはマジックで描いてもええて言うたけど、せっかく良く出来たし、ちゃんとしたのがええなあ……」  顔部分は重要である。マリアがおねだり上手なおかげで、ポッチャリ―はイラストだけでなく、その工程や作り方のコツまで図解入りの画像で送ってくれた。  それによるとマスコット用の目玉シールというものがあるらしい。シールを使えば黒いフェルトをちまちま切り抜くより簡単だし、黒マジックで塗りつぶすのとは比較にならないぐらい可愛いだろう。  ハナは唸った。今やハトとハナは一心同体。ハトに妥協はしたくない。 「うーん、やっぱり買うてこよ!」  時計を見ればまだ午後になったばかり。ひとっ走りして手芸店に行けば、飾りつけの時間を差し引いてもぎりぎり間に合うはずだ。  そうと決まれば善は急げである。ハナはダッフルコートをひらり、マントのように翻した。あこがれの二人クリスマス、ここは頑張るしかない。 「お財布よーし、携帯よーし、暖房と電気消して鍵締めて……」
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