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ハナは声出し確認しつつ、部屋の戸締りをする。
閉じこもっていた部屋はボンドの匂いが充満していたので換気用の小窓だけ開けた。夜はいよいよアレという流れになるかもしれない。ハナは頬を赤らめる。そういう雰囲気でなだれ込むのはいつもハナの部屋だ。ここぞという時にラリってはいけない。
考えることが次々と浮かぶ。とにかく戻ってきたらすぐにハトを仕上げて、掃除とツリーの飾りつけだ。ハナは慌てて靴に足を突っ込む。
「大忙しや! 急がな」
ハナは想像していた。
待ち合わせの駅から二人で帰ってきたら、部屋にはハトが鈴なりのクリスマスツリーが光っている。
チカチカ瞬く電飾、樅の枝の隙間から沢山のぐるっぽーたち。
ヒロはどんなに喜ぶだろう。何て言うのだろう。
ハナがこれ作ったん?! 凄ない?!
めっちゃ可愛ええやん! めっちゃハトしてるやん!!
大興奮で褒めまくるヒロの笑顔が浮かぶ。高校時代からヒロは嬉しいと全力で尾を振る犬のごとく喜びが全身からダダ漏れになる。ハナはその惜しみない笑顔が大好きである。
「ふふ」
考えるだけで楽しかった。疲れているはずなのに、それすら感じさせない颯爽とした動きで、ハナは家を出て言った。
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