いつでもとなり

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 しかし、『待ち合わせ』のキーワードでヒロはハッとした。 「そうや、ペン太、お前どこでギンちゃんと話ししたん。まだ近くにおるんと違う?」 「もうけっこう経っとるからなあ……でも、場所はギンが指定したんや。急に俺が呼びだしたから、バイト先から近い駅言うて」 「それや! そん時、バイトの先の手掛かりになる事言うてなかったか」  ペン太は腕を組み、記憶を絞り出すように格闘した。眉間に皺を寄せる。 「うーん、俺、自分が話するんでえらいテンパってたからギンの話はうろ覚えや。それにアイツの話し声、ぼそぼそしててぁ、訳わからんのや。亀の世話がどうとか、池の掃除がまだやとか。何言うてんねんって怒鳴ったわ」 「亀?」 ヒロはポン!と手を打った。 「ここら辺……ちょうどアレのあるとこか」  ヒロは早速携帯を取り出した。思い出したのである。  ヒロとハナはラブラブなので、居場所の認識はおろか何でも話をする。そして愛しきハナの話であれば何から何までヒロはしっかり記憶しているのだ。  つまり、ハナがねこたんの忘年会からの猫探しで、怪しげな亀カフェに辿りついた時のことを。
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