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「ごめんなさい、あのね実は」
「ここかぁ、ヒロ! お前歩くの早いねん! 追いつくの必死やわ!」
またもやドアがドーンと開き、マリアの告白を遮るどデカい声が響いた。
今度はどこのどいつよッ!!
マリアのこめかみに青筋が浮く。さすがに学習したヒロがこわごわと突入してきたペン太を宥める。
「ペン太静かにしとけ、殺気を感じるやろ、なっ」
「わからん! それよりギンや」
ヒロが諫めるもペン太は構わず、きょろきょろと店内を伺った。そして来客かと出てきたオーナーと、その陰の隠れ切れていない男を見つけ、指さして叫んだ。
「おったーっ! 見っけたでギン!!」
「ぺ、ぺ、ぺン太さん、ななな、なんでここに」
「探しにきたに決まってるがな!」
横柄なペン太が追いかけてくるなんて予想もしなかったのだろう、ギンちゃんの狼狽ぶりは気の毒なほどだった。一花オーナーの後ろでわたついたギンちゃんの手が千手観音のように出たり引っ込んだりする。ペン太とギンちゃんの間にはさまれたオーナーも巻き込まれ、三つ巴の諍いとなった。
「帰って下さい! もう終わりって言ったじゃないですか」
「嫌や! 俺とコンビ辞めてどうするつもりや。お前にカフェの店員なんぞ似合わん!」
「あらー、ギンちゃん有能ですよー」
「お静かに! はい、もうちょっと穏やかに! ……あ、こっちのことは気にせず、そちらはごゆっくりどうぞー」
ヒロは仲裁しつつ、マリアにへこへこと頭を下げた。
その顔が『こんな時にすまん、許して』と、全力の謝意を示している。今日、麒麟神社でニアミスしたヒロは、マリアが真剣にこの時を迎え、まさに今、大事な局面にあることを察したのだ。
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