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「……ちょ……僕、ただ待っとるだけで……」
ハナの声はあまりに小さく、聞き逃すまじと人の輪が狭まる。
その迫りくる距離感にハナは軽くパニックを起こした。たちまち手足が強張り、息が浅く酸素が薄れてくる。
危険な兆候にハナはいよいよ追い詰められた。
アカン……このままやと動けなくなる……
ハナはぐっと唇をかみしめた。荒くなる呼吸を封じ踵を返す。ほんのわずかの人の隙間に突進し、一気に輪を抜けた。
「すいません、さよなら!」
そして気づくと、ハナは涙目でその場から猛ダッシュしていた。
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