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「その、同性が……好きって、ほだなこと」
そこかー!
やっぱ駄目かー!!
マリアは瞬間、召されたと思った。
同性愛に生理的嫌悪をもよおすとなれば、これはもうどうしようもない。ノンケを落とすのは最難関であり、限りなく根気と幸運を要する。震える声でせめてものフォローをしてみた。
「そうね、今どきはそんなにレアでもないんじゃないかな。私の周囲にも普通にいるし、少数派ではあるけど、社会的な認知度も昔に比べれば全然」
「男同士って、藍野さま、どう思いますか」
食いつき気味に沙奈ちゃんは質問をぶつけてきた。
もしや沙奈ちゃんは腐女子というヤツなのだろうか。ペン太とギンちゃんに萌えを感じちゃったのだろうか。あのチビとデカいのに? マジか? と思いつつもマリアは肯定する。
「いいんじゃない? 好きなもんは好きで」
「じゃ、女同士は……いいんですか?」
「んっっ」
マリアは突如核心を突かれて絶句した。
その顔はきっと隠しきれないほど青ざめているに違いない。男性向けグラビアアイドルであるマリアは、男性ではなく女性が恋愛対象である事を悟られたことは皆無だった。どの段階で沙奈ちゃんがマリアの気持ちに勘付いていたのか、動揺を隠せない。
「い、いつから……?」
呆然と呟くと沙奈ちゃんは何度か言いかけてはやめるを繰り返した。だが、マリアがあまりに必死の形相だったせいか、言いにくそうに口を開いた。
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