410人が本棚に入れています
本棚に追加
「きっとはじめからです。そうなんかなって思う事さ、時々あって」
「はじめから……?!」
そんなにも沙奈ちゃん好き好きオーラが出まくっていたのだろうか。
マリアは恥ずかしさと衝撃で硬直する。沙奈ちゃんは言ってしまった勢いでさらに続けた。
「本当はずっとわがってたんです。んだけんど、こげなこと普通じゃねえって思ってだがら、考えねようにしたり、わざと打ち消したり……けど今日、誘ってもらってからいよいよ誤魔化せねくなってきて」
マリアはごくりと喉を鳴らした。
確かにクリスマスというタイミングを重視するがゆえに、今日の誘いが不自然だったのは否めない。髪型も服装もさりげなさの対極になってしまったことは自覚している。
しかしその頑張りが沙奈ちゃんの疑念を裏付ける決定打となったとすれば、なんて皮肉なことだろう。
「さっきの二人さ見て、思ったんです。田舎さ帰る前に、自分のけじめとしてちゃんと言うべきじゃねえがって。良くしてもらったからこそ嘘はつきたぐねえ」
「待って」
マリアは沙奈ちゃんを押しとどめた。せめてここまで育ててきた恋心、相手に駄目出しされる前に想いを伝えてから失恋したい。普通じゃないと言われても、これがマリアの真っ正直な恋なのだ。
「私、あなたが好き」
……言った。
言ったと思ったら目の前が白く霞んだ。頭がふらつくほど心臓に血液が集結し、どっくんどっくん暴れている。たぶん今血圧をはかったら200は軽く超えているだろう。
最初のコメントを投稿しよう!