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ハナと店主が同時に止めに入る。
ダブルのツッコミに戸惑うヒロは、目線を彷徨わせた。するとそこに救世主のごとく赤い苺が目に飛び込んできた。ヒロは即座に飛びついた。
「これや! いちごだいふく! これ下さい!」
「はい、おいくつ!」
「あるだけ!!」
ハナは思わず、いらん!と言いそうになったが、売れ残りが一気にさばけて喜色満面の店主に気付き、口をつぐんだ。ヒロは機転という名の空回りに気付かず、喜々として語り出す。
「なっ、まさにドンピシャや。これぞ奇跡やな。苺ものっとるし、まわりも白い。しかも甘い!」
「ありがとうございます、お客さん。鳩ぽっぽのお二人でしょ。応援してますよ。おまけで豆大福もつけといたからね」
売れ残りにさらなる売れ残りをプラス。銀色のトレイに乗っかっていたてんこもりの大福が手早く包装紙にくるまれた。どっしりした重量感がダイレクトに伝わってくる。
「おほぅ、粋なクリスマスプレゼントや! ありがとうございます」
はしゃぐヒロに、浮かれる店主。急下降する気持ちをどうにかなだめながら、ハナは虚しく呟いた。
「そうやね、白くて苺や……」
遠いところに着地してしもうた……、その無念がにじみ出る。
既にマイナスを挽回したつもりのヒロは、爽やかな笑顔で店を出た。
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