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しかし当然ながらヒロにとってその肯定はハト認証ではなく『俺にくれる』にかかっている。
大きく頷いたハナに、感極まったヒロは、力を込めて宣言した。
「ありがとう、ハナ! 俺、一生大事にする!」
「え、こんなもんどうするん?!」
哀しいほどに冷静なハナである。制作者でも、このオーナメントの不毛さをかばいきれない。
しかしヒロは意に介さず、押し入れから道具箱を引っ張り出し、その場であぐらをかいた。いつもお笑いの小道具を作っているヒロにとって、多少のアレンジは朝飯前である。ちゃっちゃとハトの背中に糸でループを作り、金属のリングを通す。そして、ツリーの一番上で輝いているスターの尖りにその輪をひっかけた。
「どのハトもええけど、てっぺんはハナの作ったハトちゃんや」
「器用やねえ……」
ハナは思わずため息をついた。人というものは何かしら取り柄があるものである。何年たっても寝ぼけたギャグした飛ばせないヒロだが、こういったアイデアはするすると浮かぶのである。
「ハナからすごいプレゼントもらってしもた」
へろーん、とゆるみきった笑顔でヒロは言った。と思いきや、いきなり深々と頭を下げた。
「ごめんな、俺もプレゼント用意しようと思ったんやけど、その途中でバタバタしてもうて取りに行けへんかった。俺、明日、できるだけ早く取りにいくからそれまで待ってもろてええ?」
「そんなこと」
ハナは慌てて否定した。いつも思ってることだから素直に言う。
「僕にはヒロが神様からのプレゼントなんや。だから物なんかいらん」
自然に出た言葉だったが、感動しがちなヒロを突き動かすにはじゅうぶんだった。
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