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心の中で繰り返す。
大丈夫でぽっぽ。きっとどこかで無事に生んだに違いないぽっぽ。
ハトたちは夢と希望をこの二人のタマゴに託している。
人でありながらハトへの愛の尽きない二人。不自然なほど鳩絡みを連発するトーク、ある時は踊り、またある時は着ぐるみを着てまで同化しようと努力する姿。その二人の子供はまさにハト界のメシアになるべくしてこの世に誕生するはずなのだ。
間違いない。かならず二人はやってくれるはずぽっぽ。
ドジっ子ハトは天に祈った。鳩なりにクリスマスをざっくり理解したところ、人の世界にとってこの日は特別な奇跡がおきる日らしい。
――――――――――――だとしたら。
人と同じ世界に生きるハトの願いも叶えてはくれまいか。どうかどうか、ハトと人をむすぶ懸け橋となる御子の誕生を!
……などと唸っていたその時である。
「はーい、ほな総くんですよ、よーくんもですよ。よかったねええ」
激しい泣き声とともにマンションに赤子を連れた一団が押しかけたのだ。
っしゃあああああ!! 生まれてたー!!
安堵と感動でぽっぽの目に涙が溢れた。ハナとヒロは幸せそうにその赤子を抱いている。まごう事なき親子の図である。
雪で見えないが、上空で鳩たちは歓喜の羽ばたきをしていた。そして、赤ん坊は面倒見の良さそうな逞しい女性の腕に戻される。
オッケー、わかったでぽっぽ! これ托卵的な感じじゃね?
すっかりイケイケな気分のドジっ子ハトがギャル風に決めると、鳩たちは大いに合点した。
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