いつでもとなり

169/176

410人が本棚に入れています
本棚に追加
/609ページ
 そんなわけで。  クリスマスの翌日からずっと、ハナはマリアから沙奈ちゃんとの惚気話を聞かされている。今日も本番前の激励電話のはずが、ついいつもの流れで恋バナになってしまった。 「ハナ、そろそろ準備しといて。様子見てくる」  時間が迫り、佐崎の声がもう緊張していた。  大御所や業界仲間も多く、挨拶だけでも一仕事である。そしてハナヒロの紅白出場で盛り上がった事務所はさっそく記念のハナヒログッズを作成し、佐崎はご挨拶がわりにその三色のステッカーを配布していた。これが好評なら売り出して一儲けしよう商魂の逞しさである。  そんな訳で佐崎はさっきから廊下と控室を行き来しており、またしても慌ただしく出て行った。  ハナはマリアとの電話を切って、鏡の前に立った。と、そこにまた通知が入る。 「鋼さんや。うわ、ねこたんのみんなからもお祝いのメッセージきとる」  やはり紅白歌合戦は特別な番組なのだ。こうして出番を前に、関係者から花や祝電が続々と届く。ハナは晴れがましい気持ちで画像を保存する。  それを傍らで見ていたヒロは横目でちらりと自分の携帯を眺めた。 5004ad7f-9032-48b8-8c09-292470dea9be a56dbf66-d9e5-417b-85fd-29d05e92649ab958aeb7-ff31-4ce0-8f99-d0632b34bb1dハナヒログッズ)ステッカー メーカー:すいとくま社 デザイン:熊野菜名 商品番号:8776 金額(♡込み):プライスレス
/609ページ

最初のコメントを投稿しよう!

410人が本棚に入れています
本棚に追加