410人が本棚に入れています
本棚に追加
/609ページ
蚊の鳴くような占い師の声は、隣りの席の
「心配することないの! 星回り絶好調だから考えすぎちゃだめ! 動くなら今!」「やばい!? まじすか!!」に圧倒されてほぼ聞こえず。
途中まではぼそぼそ……と『はいい??』とラリーだったのですが、隣りの占いが終了してからようやく本腰が入りました。
「えーと……なにか物を作るような、頭を使う感じの……創作、かな。書く事とか何かしてますか?」
ああっ、ぼそぼそしてるけど、言うことは合ってる!
「してます!」
「うーん……しかし人気の星が……ないわけではないのですが、大衆的に受けるタイプではない……」
「なんですとッ!?」
聞き捨てならない言葉に私もつい本気に。
や、そもそも人気なんてないのですが、たまに夢見ることもあるじゃないですか。しかし占い師は妙に確信めいて続けるのでした。
「王道は無理……なので、ご自分がいいと思うものに特化してマニア向け……そう、一部の濃いファンを相手に細く長く……その方がいいと……今はどんな感じのものをお書きですか……?」
「ハトが出てきます!」
「主役がハト?!」
「すいかちゃん、そんなの書いてんの?!」
突然ですが友人も一緒だったのです。まさかのカミングアウトに友人もびっくりだ。私は正確に伝えねばと、慌てて否定しました。
最初のコメントを投稿しよう!