4月

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2ea8f449-f3b7-48b5-b40d-b05cb466b453 「そういえば今年はお花見に呼んでもろたねえ」  春爛漫。だが、こう見えて二人は東京のお花見をしたことがない。上京してからは仕事に必死だったし、その後はハナがしばしの引きこもりで外に出られなかった。今年は今年でハトダンスからの波を逃すまいとガムシャラだ。そんなこんなでずっと機会を逃してきたのである。 「それはあかんわ」 それを聞いて二人の師匠、オイリーの二人は代わる代わる首を横に振った。 「花見は公明正大に飲み食いできる天下のラッキーデーやで。逃したら人生の損失や」  食べることに惜しみない努力を捧げる二人は嘆かわしい、嘆かわしいと言いながら、すぐさま携帯で指示を出した。 「おお、ポッチャリー、今日はみんなで花見にしよ。今すぐ車準備せい」 ヒロとハナがポカンとしていると、オイリーは阿吽の呼吸で立ち上がり二人を急かした。 「さあ行くで!」  そこからは早かった。みんなでポッチャリーの運転する車に乗りこみ、途中でたんまりと食べ物を買う。  わいわいと買い出しの袋を抱え、オイリーの事務所に到着すると、庭には満開の桜が咲いていた。  
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