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しかも佐崎のこの遠大すぎてほぼ妄想な構想に全面協力した一派がいた。
ブームの永遠を願うハト達である。
佐崎、それポー!
我々も微力ながらサポートするでポッポー!
彼らは緊急会議を開き、選出された精鋭部隊が全国のステージに随行した。ぐるっぽたちは移動車の上空を羽ばたきながら地方のハトに声をかけ、その甲斐あって地方のステージには同胞が大集合したのである。
かくしてイベントの始まりと終わりには大量のハトが飛び立つ、会場周辺の電柱にはぐるりとハトがスタンバイしている、ハナヒロの写真を撮ると必ずハトが写り込むなど、数々のアピールを成し遂げたのである。
激務だったけど、やるだけやったでポッポ
広報活動はひとまず良しとして、次は……
今日もハトたちは、マンションのベランダに潜んでいた。すっかり身内気分なので、ハナとヒロの様子が気にかかる。
二人は連日のステージで、特大鮭弁にうどんまでかっこんでいるのにやつれる一方だったのだ。そろそろ次の卵を期待しているのに、心配でならない。
「なあヒロ。ええお天気やし、もうちょっと鯉のぼり出しといてええかなあ」
「ええよ、俺らほとんど家いなくて見られへんかったもん」
急に二人ががベランダに出てきたので、ハトたちはとっさに鯉のぼりにぶら下がった。羽ばたかず風にそよぐという高度な擬態テクである。
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