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「あ、もう時間ない、どうしよ12月の思い出、語ってないわ」
「うーん、12月言うたら今現在やしな……バタバタしたまま年越しまでいきそうや」
「でも僕、思うんやけど、特別に何かせんでも、楽しい日、大変な日、自分なりにがんばって一年無事に過ごせたら、それでもうじゅうぶんやない?」
「ハナの言う通りや。めっちゃわかるわ。俺も思い出すことやったら普段の些細な事ばっかや。うどん食べ過ぎて腹痛なった時のこととか、ハナと着ぐるみ交換して佐崎さん驚かせて遊んだ事とか、商店街でコロッケおまけにもろうて嬉しかったとか……」
輝くイケメンの日常はあまりに小市民的であった。しかもハナのせっかくのまとめに微妙に水を差している。しかしハナは御尤もと言わんばかりに優しく頷いた。ヒロのトンチキぶりも愛でる、これもまた愛である。
二人は画面に向かって手を振った。
「それでは今年も長らくお付き合い下さり、ありがとうございました!」
「「ハトチャンネルでしたー」」
エンディングが流れた。
一年の労を労ってスタジオから拍手が起きる。
ハナはヒロに、ヒロはハナに小さく拍手を送りあう。
拍手はテレビの向こう側、二人を応援している自分自身にも。
誰もが明日も明後日も、ささやかに時間を積みかさねている。
一年間、今年もよく頑張りました。
Merry Xmas & Happy new year!
< 完 >
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