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       しばらくして。  ハナは事務所との話し合いの末、仕事量をかなりセーブすることになった。  それはつまり、二人が顔を合わせる時間が少なくなったことを意味する。 「散歩、しよかなあ……」 はじめは休養といっても、ただ寝てばかりでろくに家から出られないハナだったが、日が経つにつれ、ようやくそんな気分になれた。  どん底だった気持ちが、休むことで次第に癒されていく。毎日カメラや舞台を通じて見られるばかりだった生活から、こうして人目を遮断すると、息をするのが楽だった。  ハナは、おずおずと外に出た。意外と普通にしていると、バレなかった。 有り難いとは思いつつも、悲鳴を上げるように寄ってくるファンの熱狂に怯えのあったハナにしてみれば、町に出るのに恐怖心も働いた。でも、実際にこうして出てみると、道行く人はみなそれぞれに忙しくて、取り囲まれることもない。  ハナは、缶ジュースを買って、飲みながら公園を歩いた。緑とか風とか日差しとか、そんな普通のものが、新鮮だった。 「気持ちええなあ」  ヒロにこんなん見せたら、なんていうやろ。  ふと、相方を思い出す。  ハナがこうしている間も、ヒロは多忙を極めているはずだった。     
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