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   いつもとなりにいる。  あんまりずっととなりだったから、それが当たり前だと思ってた。  一緒じゃなかった時って、どんなだったんだろう。    そんな風に、思うぐらい。   あんなハナをもう一度見るくらいなら。  それがいつしかヒロの中で一つの大きな基準になったのはいつからだっただろう。 移動の最中、相方はいつものように眠っている。 とりあえず目をつぶっているだけかもしれないが、そもそもそんなに張り切ったり、テンションを上げている姿はめったにない。芸人という職業上、舞台に立っているときは賑やかに振る舞っているが、普段はとても静かだ。  ハナは何かというと内にこもってしまう。不満も不安もきれいに呑みこむ。  だからヒロはわからなかった。どれだけハナがいちいち傷つき、周りの要求に応えようとして、疲弊していたかなんて。  ハナは確かにおとなしかったが、愛玩動物のように甘え上手でもあった。普段はのんびりにこにこしていて、子供みたいな顔で笑うから、みんな保護者気分になる。 「ヒロぉ」 「なんや、どうした」  ちょっと舌たらずにのろのろ話す感じは、もう守らなくてはいかん、と庇護欲をかきたてるものだったし、心細いとちんまり後ろで寄り添ってるところも可愛かった。  ただ、上京してすぐの頃、ヒロはとにかく余裕がなかった。スケジュールはぎっちりだったし、何より自分たちの位置を確かなものにしたくて必死だったのだ。ハナが話してきても、焦りを悟られたくなくて素っ気なくしたこともある。
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