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    さて。  やや体調が上向むきになったハナが、様子を見ながら仕事を再開させてしばし。  経過は順調といって良かった。  先輩芸人との交流も復活し、ハナはずいぶん本来の明るさを取り戻している。  まだお笑い番組や直接観客の前に立つ仕事には臨めないものの、ちょっとしたCMやドラマなど、映像重視の仕事は無難にこなせるようになってきた、そんなある日。  事務所では重々しく会議が開かれていた。  といっても、この場にいるのはマネージャーの佐崎とヒロとハナで、もはや幹部たちは立ち去った後である。  広々とした会議室のはじっこにかたまり、残された三人はそれぞれに低く唸っている。 「んー……」 「うん……」 「んんん……」  三人をうならせているのはハナヒロの今後についてであった。  ハナが休養して数か月、番組改変に伴い、ずっと二人でやってきた深夜番組が打ち切りになったのである。15分程度の短いバラエティーだったが二年近く続いていおり、何より二人の名前が入った冠番組だった。これにより二人一緒のレギュラー番組はゼロになる。 「いよいよきてもうたな……」 ヒロは腕組みしながら呟いた。これを皮切りに佐崎が声を上げる。 「ごめん、私がもっとうまく局と話をつなげられれば!」 「違うよ、佐崎さんのせいやあらへん。僕や」 ハナはうつむいたまま言った。  会議の最中からずっと、ハナは顔を上げられないでいた。状況が状況であるから、誰もハナを直接責めはしない。それでもずっと大事にしてきた番組が終わりになったのは、言われるまでもなく相方一人では番組が成立しなかったからだ。
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