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「はい。これ飲んで」
手渡された水。蓋を外した少し甘い味のする水を渡される。
「なんで泣いてる?思ってること言って。俺に出来ることならなんだってするよ」
戻ってきた手の温もりにまた泣きそうになってペットボトルを煽った。
いつの間にかカラカラに乾いた喉をスルスルを液体が流れ込んだ。半分ほど飲み干して口を離すとペットボトルは高嶺さんの手へと渡る。そして両手を握り締める高嶺さんが僕の名前を呼んだ。
「隼人?」
もう堪え切れなくて滑りの良くなった喉を通って溢れてしまう。
「……一緒にいたいです……」
「いるよ、ずっと」
「……今日もっと……」
「もっと?」
「僕の……きてください……」
「どこに?」
「部屋です……」
「いいの?」
「はい……きてほしいです。一緒にいたい……」
その言葉を待っていたかのようにふわりと抱きしめてくれた。
「そうやって言えばいいよ。今は先生と保護者じゃない。思うだけじゃなく言えばいい。俺は隼人から欲しがる言葉を聞きたいよ」
そう言って髪にキスをしてくれる。何度も何度も。愛おしそうに。
そういえば高嶺さんは僕の反応を見て楽しむ嗜好があった……
もしかしてこれもそうなの?でも……聞けない。
抱きしめてくれて好意を持ってくれてるのはすごく伝わってくるけど…
僕の聞きたい言葉は言ってくれない。
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