第1章

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流し込んだチューハイで胃袋が熱くなる。そんな熱を身体から溢れさせたい。可能性のある人を好きになりたいよ。 寂しくて凍りそうな身体を両手で抱きしめる。暖かくもならない身体をぎゅーって抱きしめても溢れてくるのは涙だけ。 高嶺さんに愛して欲しかったな。大好きだって声を出して言いたかったな。 大好きだよって言って欲しかった。 妄想は現実にはならなくて、惣菜みたいに味気なく胃袋で消化されて無くなっていく。 消化していかなくちゃな。 目の前の惣菜があまりにも可哀想な俺みたいで涙が溢れた。食べてしまうのはなんだかなって食べかけのまま箸を置いた。 腐れば一緒なのに。 でもどうでもよく腹を満たしてくれるものには出来なかった。
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