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「なんか色々考えてるみたいですけど、僕は嫌な時はちゃんと言いますよ。言えって言ったのは琥太郎さんです。言わないとわからないですもんね」
耳元で優しく囁く声が胸にじんわりと染み込んでいくようで熱くなる。
「なんでも言ってくれ。隼人の思ってること感じたことなんでも知りたい」
そう何度も言ってきたのは誰でもない俺だ。隼人が知りたくて俺のものにしたくてせがんだんだ。
「どうしたんですか?本当に。僕は琥太郎さんのものなんですから、ちゃんと自覚してます。早く帰ってきてくださいね。あの大きなベッドで一人は嫌です」
「そうだな。なるべく早く帰る。俺も隼人と離れてるのは辛い。離れていたくないよ」
「嬉しい……離れてみるのもいいもんですね。そんな言葉が聞けるなら」
「俺はいつだって思ってるさ。朝、行ってきますと出かけたら早く帰りたくなる。 少しでも隼人といたいっていつも思ってるよ。俺だって隼人と一緒に眠りたい。腕の中で隼人の温も……」
「ストップ!ストップです!もうなんなんですか?恥ずかしいですから」
シャイな隼人が真っ赤にになっているのが目に浮かぶ。その顔が見れないのが残念だ。
「それだけ愛してるってことだよ」
「分かってます、分かってますから耳元で言わないで……」
電話をしてるんだから耳元なのは仕方ない。耳元で囁かれる愛しい人の声は想いを募らせる。
遠距離恋愛をしている人達が想いが募らせるのは、この耳元で愛を囁くからだ。会いたくて仕方なくなる衝動にかられてしまう。
「隼人、もう寝る準備はできてるの?」
「できてます。もうベッドに入ってますよ」
ふと、頭をよぎる淫靡な光景。こんな機会でもなけれな出来ない、電話での醍醐味じゃないのかとふつふつと妖しくほくそ笑んだ。
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