第1章

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誘った羞恥に今更赤くなりイタしたベッドを罪悪感で見る。 もう妄想しなくても生身の高嶺さんがここにいる。わずかな時間を共有するだけじゃない。 言葉が聞けるなら自分の自慰妄想なんて言わなければどうってことない。 もう既婚者だって悩まなくていい。片思いだって叶わないって泣かなくてもいいんだ。何度も何度も心に言い聞かすように実感を飲み込む。 視線を合わせると優しく僕を見つめて「何から話そうか」そう言って引き寄せた僕とベッドに腰掛けた。 「可愛いな、隼人は。そんな隼人を甘やかして可愛がりたいってずっと思ってた。俺は美紅の親だけど隼人を好きになっても恋人になっても何の問題もない。君が欲しいよ。ずっとそう思ってきた」 君が欲しい。なんて上等な告白なんだろう。 好きな人から欲しいなんて言われて喜ばないやつはいない。引き寄せられた肩の力を抜いて高嶺さんに身体を預けた。 「だからなんだって聞きたい。俺を欲しがってくれるならなんだって」 掠れた声とタバコの匂い。そして囁くように僕を欲しいと言ってくれる。止まらなくなった涙を拭うこともせず高嶺さんの温もりに心を焦がした。 「……好き。高嶺さんが好きなんです。僕を好きになってくれてありがとうございます」 わがままは言えなけど溢れてく想いは聞いて欲しい。 「俺のほうこそだよ、好きになってくれてありがとう。これからよろしく」 引き寄せられ瞼にキスを落とされ目を閉じた。愛おしそうに何度も額や頬に唇付けた高嶺さんは「好きだよ」と耳元で囁いて抱きしめてくれた。
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