第4章

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第4章

隼人がうちに来て から半年が経った。 毎日隣で眠る隼人を抱きしめられる幸せはどんなものにも変えられない宝物だ。 遠慮がちにだが思っている事を言ってくれるようになった、そんな隼人の匂いを吸い込むように額にキスを落とす。 擦り寄る身体が愛らしくてもっと密着していたくて引き寄せる。 「お、おはようございます」 目覚めのいい隼人は俺の顎先にキスを返してくれた。その仕草がまた堪らなくて華奢な身体を抱きしめる。 「今日から出張なんですよね…」 寝起きの掠れた甘い声で寂しそうにこぼす。 付き合い始めてから初めての出張。それも2週間も離れて暮らすことになる。 「独りで…出張ですか?」 その返事に一瞬戸惑った。戸惑いの原因は一緒に出張先に向かう部下なんだが… 久田 圭吾。 入社5年目のなかなか出来る奴なんだが…少々困った奴で手を焼いている。 「部下と2人で行くことになってる」 じっと俺を見つめる目は物言いたげなのはわかる。それは同性か、異性かと聞きたいのだろうと安易に思ったが隼人の思いとは違っていた。 「同じ部屋じゃないですよね?」 男か女かを聞きたいわけじゃなくて、同じ部屋に泊まることが気になるようだ。そんなところも可愛くて仕方がない。 「別の部屋だよ。出張でも流石にプライベートは必要だからな。遠慮しないで電話してきて。待ってるから」 背中に手を回して鎖骨辺りに顔を埋める。チクリと痛みが走りそれがなんなのか、痛みの場所を指でなぞった隼人の優越な顔で理解した。 「僕のモノって印です。誰にも触らせちゃダメですよ」 朱印に言い聞かすようにその場所に囁く。誰にも触らせたりなんかするわけがない。隼人の悲しむことは絶対しないよ。
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