プロローグ

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さすがに少し疲れてしばらく天井をぼんやりと見続けていたら、会社の人間がやって来た。前の女とは違う。長めの茶髪と整えた細すぎる眉が軽薄そうな雰囲気を漂わせている、若い男だった。スーツがまるで似合っていなくてホストのようだ。男はこちらの様子を窺いながら、ぺこぺこと赤べこのように頭を下げ愛想良く入ってきた。 「この度はお疲れ様でした。出産直後の所を大変申し訳ないと思ったのですが、良いご報告ですのですぐにお知らせしたく失礼致しました」 無言でいると慌てた様子で続けた。 「このたび報奨金が出る事になりました。クライアントは健康な女の子を欲しがっていた為、全て希望通りでかなり満足されていらっしゃるようでして」 「どれぐらい?」 寝た姿勢のまま、間髪入れず聞いた私に男は一瞬顔を引きつらせた。が、すぐににやけた表情に戻る。 「百五十です。破格で」 すよ、と男が言い終わらないうちに私は 「十五分」 と言った。 「え?じゅ、じゅう?」 「十五分で産んだのよ、初産で。これ、結構すごい事だから。分娩がどれだけ早かったか、も評価に入れて欲しいんですけど。早ければそれだけ費用も色々浮くでしょ」 細眉男は再びひくりと笑顔を引きつらせた気がしたが、 「考慮させて頂きます」 と言いその場を去って行った。
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