デリヘルの幽霊

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 三日前、いつもより力がみなぎっていた俺は、ポストの中に入っていた小さなチラシに目をひかれた。  真っ黒な紙に、白抜きの文字でこう書かれていた。 『最期まで添い遂げます。5000円! 追加料金なし!』  デリヘルなんて呼んだことがない。だが、あふれる力と怖いもの見たさがあった。  最期という文字にわずかな違和感があったが、そんなことは気にせずに電話をかけた。  電話に出た、と思ったらすぐに切られた。  しかし、数分経ったら音も無く、この女が玄関に立っていたのだ。  泣きながら「お金が欲しい」と言っているから驚いたが、手を取ろうとして、さらに驚いた。その手に触れないのだ。
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