デリヘルの幽霊

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 すごく気味が悪かったが、危害を加えてこないから居座らせてしまった。しかし、よくよく考えると、このままではデリヘルどころか客も呼べない。それにずっと「お金が欲しい」と呟かれるとこっちが落ち込む。 「あのさ、悪いんだけど、これあげるから出て行ってくれないかな?」  出会い頭に「チェンジ!」と叫べばよかったと後悔しながら5000円札を差し出した。彼女は初めてのほほえみで受け取ったが、すぐに泣きだしてしまった。 「おい。泣くなよ。…………う~ん。どうすればいいんだ?」  その時、ふと目に入ったのは、三日前に見たデリヘルのチラシだった。  このチラシは誰が持ってきたんだろう? 彼女が自分で入れたとは考えにくい。  もしかしたら、俺以外にも彼女に悩まされた人がいて、俺のポストに入れたのではないか?  その仮説を思いついた俺はチラシを持って外に出た。そして、隣の部屋のポストに入れておいた。
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