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次の日、出勤時間になっても熊村は現れなかった。上司が彼の家に電話すると、奥さんの悲鳴が聞こえたという。
「ウチの人が、死んでるんです!」
熊村もまた、心臓を握りつぶされていた。その話を聞き、西田はあの十字路で起こった全ての事件を浚い出した。
数カ月が過ぎ、西田は十字路に立っていた。そして小さな花束を供えた。
「ずっと前にこの場所であった轢き逃げ事件。君は、誰かを轢いたと白状しない悪い大人を懲らしめたかったんスよね? 君を殺した犯人、さっきようやく俺が捕まえたんス。だから、どうかこれっきりにしてくださいッス」
西田は深く頭を下げた。それ以降、十字路での不審な事故はぱったりと無くなったという。
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