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3 2人だけの幸せな時間
休日最後の朝、S美はN野を起こし、居間へ誘導する。N野は目が開いているのか開いていないのかよく分からない状態のまま、S美の肩に腕をまわしゆっくりと歩きながら、ゆっさゆっさ揺れながら足を居間へはこぶ。N野、朝は苦手なタイプのようだ。
N野を居間へ誘導し、白いソファーにゆっくりと座らせる。そこから朝食を2人でかこむ。S美はN野の頬に軽くビンタを連打する。
「起きてN野君。ほんと、朝に弱いのね。」
S美はN野の顔を見てクスクスと笑う。N野はその恥ずかしさに目が完全に覚めた所で2人は改めて朝食をかこむ。
今日の朝食は、食パンの上に目玉焼きがドンッとのっかり、さらにその上にはベーコンが大きく1枚横に寝そべる。飲み物はコップ一杯に注がれた牛乳。
どうやら食後のデザートがありそうな予感。S美はふと思いついたようにN野にこの前読んでいた雑誌のあるページを見せた。
「ねぇN野君。私さ、このドレス着てみたいなぁ。すごく素敵じゃない?。」
N野はS美に見せられた雑誌に載る女性モデルが着ている素敵なウエディングドレス姿、そして、素敵な結婚式場、そして熱い誓いのキス。
N野はどうやら熱い妄想を膨らませすぎて、鼻血が出ていたのに気付かず、大きな1枚のベーコンを口にくわえながらうんうんとうなずく。
「あれ!N野君、鼻血出てるよ鼻血!。」
N野は恥ずかしそうに慌てて鼻の穴にティッシュを丸めて突っ込む。
「よし、これで血なんて出ないぜ!。」
N野はかっこつけたつもりだったが、S美にはどうやらウケたらしい。
「N野君ったら。本当に面白い人ね。もっと好きになっちゃった。」
S美の笑った顔を見て、思わずまた鼻血の量が増す。しかも最後の言葉、聞いただろうか。もっと好きになっちゃった、だって。
N野とS美の結婚生活は、これからも楽しく、幸せな時間がたくさん増していく、そう思っていた。
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