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そんな事があるわけないじゃん。
すっかり忘れていた先日の夢が蘇ってきた。あの時、窓の外で話してた奴らはなんて言ってたっけ? こう割とよくある名前だったはず。確か…心臓疾患とか交通事故とか言っていたような気がする。
その日はその事が気になってなかなか寝つけなかった。勉強する気にもなれず、ベッドで横になりながら漫画を読んでいた。0時を過ぎた頃、いつしか眠ってしまった。
「へえ。45歳?」
「若いよな」
窓の外。ボソボソと声がした。どうやら二人で、男のようだ。
「同い年の夫と、高校3年の男の子がいる」
ウチと一緒だ…
そう思った途端、拓哉は目を覚ました。全身から汗が噴き出す。息を殺して聞き耳を立てた。
「病気ってなかなか気がつかないよね」
「普段健康な人ほどね」
「ガン?」
「再検査を飛ばして急に進行。よくある話」
窓の外で喋っているというのに、妙にはっきり聞こえる。ベッドで身を強張らせ、じっと耳をすましたが…それっきり声は聞こえなくなった。
今すぐ母親を起こして確認したかった。
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