窓の外

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「今回はゆっくりしていけるの?」 「うん。有給と合わせて休み取ったから」  お盆休みを利用して久しぶりに実家に帰ってきた。母親が嬉しそうに迎えた。今年は同期会があるというので頑張ったのだ。 「やっぱ落ち着くなぁ」  高校時代のままの自室に荷物を下ろすと窓を開け放つ。南からの風が心地よかった。ゴロンと畳に横になる。ゴロンと畳に横になった。久々の実家は懐かしくもあり、居心地がいい。移動の疲れもあってうとうとしてきた。同期会まで時間がある。ちょっとだけと、そのまま寝てしまった。 「帰ってきた」 「なかなか隙がなかったからね」 「原因不明の突然死かな」 「代償は払ってもらわないと」  窓の外でボソボソ誰かが喋っている。ぐっすり眠っている拓哉の耳には届かない。  畳の上の拓哉がカッと目を見開いた。胸をかきむしり、口を大きくパクパクさせながら必死にもがき始めた。
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