つめたい星の色は、青

13/237
前へ
/237ページ
次へ
 日野がどういう言葉で表したらいいのかわからない気持ちを、水本がはっきり言葉にしてくれたような気がした。  この人と付き合いたいというより、ただ誰かと付き合いたい。日野にはそういう気持ちが確かにあった。ただなんとなく、誰か恋人が出来ればそれだけで幸せな気持ちになれるのかと思っていた。実際はそんなことはなく一方的な相手の感情に圧されるままで、それに上手く応えることも出来ず、結局駄目になってしまった。日野は誰かと付き合うって人を好きになるってどういうことか、なんにもわかってない。園田に言われたその言葉に、心を握り潰されそうになった。もしかしたら自分は一生誰のことも好きになれないのかも知れない。みんな恋人が出来たら楽しそうにしてるのに、何故自分はみんなと同じように恋愛で騒いだり出来ないんだろう。どうしてみんながしてる普通の恋愛関係を作れないんだろう。自分は普通じゃないんだろうか。でもそんなこと、誰にも言えない。     
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加