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「変なこと聞いてごめん」
「別に謝るようなことしてないんだから、謝るなよ。なんで謝んの?」
「……一応考えて喋ってるんだけど、いつも頭と口が追いつかないっていうか。面白いこと言えないし。そういうつもりはないんだけど、人を傷つけたりするんさ。だから出来るだけ喋んない方がいいのかなって思ってはいるんだけど……」
日野の言い訳に、水本は大きなため息をついた。つまらないこと言った、また呆れられてる。何で僕はいつもこういうことを。日野は両手をぎゅっと握りしめ身体を強張らせた。
「無口なのは苦手っつうか、何考えてるのかわかんないから嫌だな、俺は。多少口が悪くても思ってること何でも話してくれる方がいい。少なくとも俺は傷ついてねえし」
水本からの意外な言葉に安心して、握りしめていた手がほどけた。思わず笑うと、今度こそ呆れた顔で日野を見て言った。
「まあ、あけすけに自分のことを話すのが心を開いてるかどうかは別としてさ」
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