つめたい星の色は、青

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 正しいのだろうけど言わない方が良いようなことばかり言う。世の中の全てを見透かしているような目で人の顔を見る。年の割に幼い顔立ちなのに、同級生たちよりずっと大人びた雰囲気。みんなが水本のこういうところに臆してしまうのが、わかる。校内でも水本が近づくとみんな緊張して言葉を詰まらせる。彼のことを知れば知るほど、世界は揺れて色を変える。  それでも日野には、水本といるこの瞬間が他の誰といる時間よりも特別に思えて、もっとこの時間を感じていたい。ただただ触れてみたいと焦がれてた頃より、彼を知るほどにその気持ちは膨らんでいく。こんな気持ちをなんと呼べばいいのだろう。  日野が教室に戻ると既にみんな帰り支度を始めていて、宮坂と一緒に教室を出る。抜け出ていたことを誰にも咎められない。いっそ責めてくれた方が気が楽なのかもしれない。僕がいてもいなくても、どうせ。ついそう考えてしまう。 「他のクラスもさっき見たけど、結構どこも凄いんね」 「でもウチのクラスはさー……こんなだったら揃いのクラスTシャツ作らなくて良かったさ。打ち上げのカラオケとかは人が集まるくせに。何の労力なしに盛り上がれることしか盛り上がんないよな」  宮坂は怒りを混ぜた口調で吐き捨てる。  文化祭まであと一週間ほどになったが、手伝わずに帰ってしまう人たちは珍しくなくなった。宮坂の愚痴は日に日に増えていく。自分のことも他の誰かに愚痴ってるのかも、と日野は疑いそうになる。結束力のあるクラスが羨ましいが、それはそれで無能な自分はもっと居場所がないのだろう。     
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