つめたい星の色は、青

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 ふうん、と水本は気のない返事をする。水本はずっと目を閉じたままで窓の外の景色も隣にいる日野のことも見ていない。二人で一つのイヤホンで何度も聞いた音楽と、雑草がやたら生い茂った道路と、黄色い春の光。音楽とエンジン音が鳴り響いてるはずなのに、とても静かな気がして。こんな瞬間をきっといつまでも覚えているような気がする。  その夜遅く、宮坂から日野に電話があった。声の調子がいつもの宮坂じゃない。 「あのー……小学校ん時の担任がこないだニュースになって」 「……うん、ニュース見た」 「それでさ、今日同窓会でその話になって、なんか今思うと色々辻褄が合うっていうか……先生のことで水本からなんか聞いてない?」  どう答えたら良いのかわからず日野は一瞬黙った。別に何も、と答えるだけなのに喉が詰まったような変な感じがする。 「悪いな、変なこと聞いて」 「……宮ちゃんは月末に引っ越しだいね。駅に見送り行くから、時間教えて」  日野自身は普通に喋っているつもりなのに、教科書の音読のように棒読みになってしまう。 「もし、もし仮にさ、そうだったとしたら……あの時気付いてたら、何かしてやれたかもしれないのに……」 「もしそうだとしても、そんなの今だから言える話だいね。あの頃はまだ子供だったんだから、何も出来なくても仕方ないさ」  宮坂は少し震えた声でごめん、と言って電話を切った。  喉に何かが引っかかったような違和感があって苦しい。頭の中がざわざわと騒がしくて眠れなくて、水本に電話してみたけれど、コール音が鳴り響くばかりで繋がらなかった。
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