つめたい星の色は、青

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「一組の水本でしょ。もうアイドルかってくらい美男子だし、むちゃくちゃ頭良いけど、性格最悪だって有名さね。だから女子の間では『観賞用』って呼ばれてるんよ」 「観賞用?」 「そう、観るだけ。下手に関わって痛い目遭った子いっぱいいるって話だよー」  話したこともない人間に何故そこまで言われるのか。同じクラスになってから、皆が水本がそこに存在していないかのように扱っているのを目の当たりにして、その疑問は膨らんでいった。日野はそれを何かおかしいと思うのだが、そういう声を上げてはいけない雰囲気に圧され、理由もわからないまま水本を少し遠くから眺めるだけの日々を過ごした。  夏休みに入る前、ちょうど水本が欠席した日に九月に行く修学旅行の班決めがあったが、誰も水本と同じ班になりたがらず押し付け合っていた。日野と同じ班の宮坂がそれを見かねて同じ班になると手を挙げて解決した。宮坂が言うには、どうせ絶対来ないだろうから大丈夫だと。 「俺、水本と小学校も中学も一緒なんだけどさ、中学の修学旅行にも来なかった奴が来るわけないがね。今日だってわざと休んだんじゃねえの」  宮坂の言う通り、水本は修学旅行に来なかった。     
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