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「特にやることないんだよ。そもそも顧問の生物の西谷が何か部活でもやれとかうるさくて、部室の生物室を自由に使っていいって言うから、俺も入ったんだし。家だと色々邪魔が入るから本読んだり勉強出来ないのが嫌で、ここで放課後勉強してるだけだから」
「……でもせっかくだから色々見ていく」
「勝手に帰っても、別に気にしないから」
水本は教室にいる時と同じようにヘッドフォンをして、紙の束を広げて何やら自分の作業を始めた。厚紙に貼られたコピー用紙にはぽつぽつとまばらに点が印刷されていて、それを一つずつ千枚通しで穴開けしている。
何をやっているのか尋ねると、水本は手元にあった星座図鑑のページを開いて寄越した。『プラネタリウムを作りましょう』という見出しのついたそのページには、ペーパークラフトのプラネタリウムの作り方が載っていた。説明書きによると、緩やかにカーブのついた長細いパーツに星の位置に穴を開け、それをいくつも組み合わせてドームを作り、下側から懐中電灯などで光を当てる仕組みだ。
「文化祭の展示用にそれ作ってる。毎年毎年使い回しだったから、今年こそは真面目に人を呼べるものをやれって命令されて。西谷が簡易テントを貸してくれるって言うから、それを投影用のドームに使う」
「こんなん自分で作れるんだね。使い回しって何やってたん」
「去年は顕微鏡を並べて、プランクトンの標本を展示した」
「それ、人入ったん?」
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