3人が本棚に入れています
本棚に追加
「おいおい、お前人妻となにいちゃついてるんだよ」
「うるさい。それよりもまた遅れやがって」
「ごめんごめん。でも、大変そうだったな。さっきの人」
「大変? なにが?」
「ベビーカーにも赤ちゃん乗せて、背中にも赤ん坊いただろ? 抱っこ紐も使わないでさ」
「いや、赤ん坊は背中の子だけだったろ?」
「いやいや、なに言ってんだ二人いたって」
俺たちは顔を見合わせて、ぱっと女性の方へと振り向いた。背中には、さっきまであやしていた赤ん坊の姿はない。
「おぎゃあ」
どこからか、はっきりそう聞こえた。俺たちがその場を走り去ったのは、間もなくのことだった。
最初のコメントを投稿しよう!