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「おいおい、お前人妻となにいちゃついてるんだよ」 「うるさい。それよりもまた遅れやがって」 「ごめんごめん。でも、大変そうだったな。さっきの人」 「大変? なにが?」 「ベビーカーにも赤ちゃん乗せて、背中にも赤ん坊いただろ? 抱っこ紐も使わないでさ」 「いや、赤ん坊は背中の子だけだったろ?」 「いやいや、なに言ってんだ二人いたって」  俺たちは顔を見合わせて、ぱっと女性の方へと振り向いた。背中には、さっきまであやしていた赤ん坊の姿はない。 「おぎゃあ」  どこからか、はっきりそう聞こえた。俺たちがその場を走り去ったのは、間もなくのことだった。
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