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ひとだまの里
叔母が、北海道のとある田舎町で、子供の頃に体験した話。
当時は、まだ街灯もなく、夜、屋外を出歩く時は、ランプを提げ外へ出たという。
叔母は、毎晩、おばあちゃんと共に、母屋から少し離れた所にある、鳥小屋へ行く事を日課としていた。
ランプの頼りない灯を頼りに、畦道を歩いていると、おばあちゃんが足を止めた。
「ほれ、みてみい」
叔母が顔をあげると、近くの丘の上を、数えきれない程の光の玉が、フワフワと乱舞している。
「アレは楽に死んだ」
「アレは......苦しんだな…...」
おばあちゃんは、光の玉を指さしながら、ぶつぶつと解説していたという。
何十年と経った今でも、 色とりどりの光の玉が飛び交う、美しくも不思議な光景は、叔母の心に焼き付いているそうだ。
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