ひとだまの里

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

ひとだまの里

叔母が、北海道のとある田舎町で、子供の頃に体験した話。 当時は、まだ街灯もなく、夜、屋外を出歩く時は、ランプを提げ外へ出たという。 叔母は、毎晩、おばあちゃんと共に、母屋から少し離れた所にある、鳥小屋へ行く事を日課としていた。 ランプの頼りない灯を頼りに、畦道を歩いていると、おばあちゃんが足を止めた。 「ほれ、みてみい」 叔母が顔をあげると、近くの丘の上を、数えきれない程の光の玉が、フワフワと乱舞している。 「アレは楽に死んだ」 「アレは......苦しんだな…...」 おばあちゃんは、光の玉を指さしながら、ぶつぶつと解説していたという。 何十年と経った今でも、 色とりどりの光の玉が飛び交う、美しくも不思議な光景は、叔母の心に焼き付いているそうだ。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!