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『葉月(はづき)さん、それ今年のトレンドか何か? オシャレね~』
『ほんとほんと、あたし達にマネ出来ないわ~』
耳障りな笑い声が響く。
『その帽子どこで買ったの?』
頭をすっぽりと覆い隠しているゴミ箱を取ると、スマホのフラッシュが眩しい。バラバラとゴミが落ちてきた。
『おい、きたねーな! こっちにまで飛んできたぞ!』
『なぁ、ゴミ箱知らね? 捨てようと思ったんだけど……』
『それならあそこにあるわよ』
『お、サンキュー』
男子が投げた紙くずが、私の頭に当たる。
『おい、何してんだ。チャイム鳴っただろ』
『あ、ヤベ』
『何散らかしてんだ、葉月。さっさと片付けろ』
『先生、ゴミはゴミ箱に捨てた方がいいと思います』
『誰か捨ててあげないと、ゴミは自分で動けないんだぞ』
『あ、そっか~』
また、笑い声が教室に響き渡る。
『葉月、お前は片付けるまで授業に参加しなくていいからな』
私がゴミを拾い始めると同時に、先生は黒板に文字を書いていく。
★☆
「酷いね」
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