2人が本棚に入れています
本棚に追加
今度という今度は、さすがに堪忍袋の緒が切れた!
綺麗で可愛くて世話焼きで貢ぎまくってナイスバディで生活の全ての面倒を見てあげている、私という超素敵な彼女がいながら浮気するなんてッ!
私は土下座しているミルちゃん――矢島ミルディスを、呪い殺すくらいの念を込めて睨み付けていた。
彼は日本人の父親とフランス人の母親の間に生まれたハーフで、年齢は私と同じ十七歳。色白の肌と目鼻立ちの整った顔つきをしていて、なかなかのイケメンだ。
趣味はメイド喫茶に通うことと深夜アニメを見てイケナイ展開を妄想すること。
そして私たちは東京都中央区八丁堀にあるシェアハウスに同居している恋人同士でもあった。
ミルちゃんは私の理想通りの男性なんだけど、浮気癖だけが玉に瑕。ちょっと見た目が可愛いだけで、男子だろうが女子だろうがお構いなしに手を出しちゃう。
しかも今回の浮気相手は、まだ中学三年生のクソガキビッチだっていうから特に許せない。
私より二歳若いだけが取り柄で、お肌のツヤも弾力もピ~ピ~ピ~ッ(※本作品は全年齢版のため、過度な不適切発言は自主規制させていただいております)も、何もかも私の方がスゴイのにぃいいいいいぃ~っ!
「お、落ち着いてくださいよ、野間沸子さま……」
ミルちゃんはわずかに頭を上げ、ヘラヘラと愛想笑いを浮かべた。私を刺激しないように気を遣っているのか、言葉遣いはいつもより丁寧。そして怯えているんだか寒いんだか知らないけど、体が小刻みに震えている。
――ううん、この震えはきっとそのどちらでもない。
今すぐにでもメイド喫茶に行きたいという禁断症状が出てウズウズしてるんだッ! 証拠はないけど私の独断と偏見によりそれで確定!
ホントに許せないんだからっ、ミルちゃんは!
「落ち着いていられるわけがないでしょっ? 何度目の浮気だと思ってんのっ? 141421356回目だよ? 覚えてないなんて言わせないからねっ!」
「さ、さすがにそれは回数が多すぎるような……」
「――あんですってっ?」
「いっ、いえっ、なんでもありませんっ!」
目を白黒させ、慌てふためきながら首を横に振るミルちゃん。
すると今まで彼の横で正座して話を聞いていた男子が、その様子を見て眉を曇らせつつ口を挟んでくる。
最初のコメントを投稿しよう!