プロローグ

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  「――で、あのクソガキビッチJCとはどこで知り合ったの? 情報開示請求してもどうせ『のり弁』みたいな黒塗りばかりの資料しか出さないんでしょ? それで納得できるわけないかんねっ! ミルちゃん、自分の口で説明責任を果たしなさいっ!」 「ミ、ミルディスは説明できる状態じゃないから、それについては僕から……」  私とミルちゃんが話をしているのに、またしても北野くんが話に割って入ってきた。彼は薄笑いを浮かべ、額には大汗をかいている。  なんでいちいち水を差すの? さすがに何度も邪魔されるとイライラするんだけど? ――って、まさかっ! 「……もしかして北野くんがミルちゃんをそそのかしたってこと? 黒幕はお前かぁっっっ!」  私は怒りの矛先をミルちゃんから北野くんへとシフトさせた。腹の中は煮えくり返り、今すぐにでも彼を八つ裂きにしてミンチにしてハンバーグにしてやりたい気分。  罪には罰を――  それは相手がミルちゃんだろうと北野くんだろうと変わらない。私は部屋の隅に置いてあったビニール傘を手に取り、やや腰を落としながら弓を引くような体勢で先端を北野くんへ向ける。  ――これはどんなものでも貫く、必殺の突きの構え。 「悪・即・斬だ!」 「ヒッ! ご、誤解だよぉっ! 全てミルディスの独断であって、僕は関係ないからっ! 思う存分、気が済むまでミルディスにお仕置きしてやって。口を挟んで申し訳がありませんでしたぁーっ!」  北野くんは瞬時に身を翻すと、メタルなゲル状モンスター並みのすばやさで部屋から逃げ出した。まったく、我が身のために親友を見捨てるとは。  根性が腐ってやがる。早すぎたんだ、恋のもつれの仲裁役は……。  ――まぁ、いい。あんな小者に用はない。今は全ての元凶である、ミルちゃんに正義の裁きを! 「ミルちゃんのバカぁああああああああぁーっ!」  その後、口では到底言えないような拷問をミルちゃんの体に覚え込ませてから、私はシェアハウスを退去して実家へ帰ったのだった。  今まで何度もケンカをしたことはあったけど、シェアハウスを飛び出すまでやったのは今回が初めて。でもそれくらいに私の怒りは頂点に達していたんだ……。  
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