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伊織がそのプレハブ小屋に入ってしばらくすると、窓から伊織の姿が見えた。
伊織の肩には、ベルトのような物がぶらさがっていて。
「あ、あれは……」
それがギターだと気づいた時には、大きな音が辺りに響いていた。
無心にギターを演奏する伊織。
その姿に、一瞬にして俺は心を持って行かれてしまった。
伊織がギターをやっていることは、もちろん知っていた。
毎晩のように、隣の部屋から弦を弾くような音が聴こえるから。
だけど、まさかこんなに上手いなんて。
あれは、本当に伊織なのか……?
「あの一年の子、すごいね」
三年生なのだろうか。
たまたま近くを歩いていた男の先輩が数名、プレハブ小屋を見ながら足を止めた。
「新しく軽音部に入部した子だよな。あの子はすごい」
軽音部?
伊織、軽音部に入ったのか?
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