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「リカルドのボーカルが引っ張って来たんだってさ。新しいメンバーにするらしい」
「えっ? リカルドって、あのボーカルの子がギターを弾いてなかったっけ?
しかも、かなり上手かったはず」
「自分が演奏するより、あの子の方が良くなると思ったんだろう。
今後は多分、サイドギターに徹するんじゃないかな」
リカルド?
新しいメンバー?
一体何の話?
「お? 噂をすれば、リカルドのボーカルが中から出て来たぞ」
三年の先輩の声に、プレハブの入口に目をやると。
変わった髪型の、やけに目立つ男が立っていた。
そいつが出て来たことで、いつの間にか先輩達はその場を去っていて。
俺だけが不自然にプレハブに向かって立っている状態になっていた。
そんな俺に、リカルドのボーカルと呼ばれているヤツが視線を向ける。
目がバッチリ合ってしまって、俺はゴクンと喉を鳴らした。
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