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「もしかしてさ」
「ん?」
「お前、好きな女の子とかいたりする?」
「は? いねーよ、そんなの」
急に何を言い出すのかと思えば、オレに好きな子がいるかだと?
やっぱアラタって変わってる。
「嘘だ。お前、絶対いるよ」
「いないっつってんだろ!
勝手に決めつけるのやめろ」
オレの言葉に、アラタがうーんうーんと首を傾げる。
「マジでいないのか?
ずっとそばにいたくて。
気がつけば、その子のことで頭がいっぱいになってて。
他の誰にも触れさせたくなくて。
独占したい子が」
アラタに言われて、ハッとした。
「あ……、そう言えば。
好きとか、そういうんじゃないけど。
ある人のことを考えながら、弾いてたかも……」
「マジ?
それ、ちょっと!
その人のこと思いながら、弾いてくんない?」
「え……?」
「頼む。
聴いてみたいんだ」
その人のことを思いながら、弾く……?
なんだか戸惑ったけど。
アラタに言われるまま、ギターを弾いた。
あの日、オレが思っていたのは……。
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