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なんだか気になって、ガラガラと窓を開けて網戸にした。
伊織の部屋の窓にはカーテンが掛かっていて、中の様子は見えない。
でも、隙間から明かりが漏れているから、部屋にいるのは確かみたいだ。
友達と夕飯を食べるって言ってたけど、その友達が今部屋にいるのだろうか。
俺は窓を開けたままで、勉強を始めた。
なんとなく、閉めたくなかったから。
しばらくそうしていると、ガラガラと隣の窓が開く音がした。
もしかして、伊織?
そう思って、キャスター付きの椅子ごと窓の外が見える場所に移動すると。
「あれー? あんた、あの時の」
伊織の部屋からこっちの部屋を見ていたのは、以前プレハブ小屋の前で話をしたリカルドのボーカルだった。
「あんたの家、ここなのか?」
「う、うん……」
コイツだったんだ。
伊織の部屋に来ていたのは。
「あんたと伊織、お隣さん同士だったんだな。
それにしても、ここすごいね。
これだけ近かったら、いつでも行き来出来るよな。
もしかして子供の頃、行き来したりしてた?」
「あー、まぁ……」
「やっぱそうか。
いいなー。
時間気にせずに、いくらでも遊べるよなー」
そう言ってリカルドのボーカルは、キョロキョロと辺りを見回した。
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