帰省(1)

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 国境を接するゾルアーズ軍第三砦。  元は俺がいた砦で緑竜軍を待っていたのは、懐かしい面々と補佐官だったハルバードだった。ただやはり、表情が厳しい。 「久しぶりだな、ハルバード」 「グラース隊長…」  前に出て声をかければ、それだけで悲痛に瞳が歪むハルバードは、俺の背後に立つランセルを見て睨み付けた。 「よくも、ぬけぬけと…。貴方がこの方を攫っていったのですね!」 「えぇ、その通りですが」 「許さない!」  手を上げたそれで、控えていたゾルアーズの部下達が身構えたのを見て俺が肝を冷やした。  こんな所で元部下と現部下+1が睨み合いなどたまらない。  今にも戦いになりそうなその場で、俺はランセルの前に出た。  途端、ハルバードは苦しそうな顔をした。 「何故庇うのです!」 「一応夫だからな。殺される訳にはいかない」 「夫…?」  俺の発言に、信じられないという様子でハルバードは俺とランセルを見る。  酷く歪んだ辛い目に、俺の方が申し訳なくなった。 「貴方は、無理矢理攫われて…軍もそのせいで…」     
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