【出産】アンテロ誕生裏話

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【出産】アンテロ誕生裏話

 妊娠7ヶ月を過ぎた朝、ふと走った痛みに俺はマジマジと自分の腹を見て撫でた。 「どうしましたか?」  朝食も終わり、ゆったりとした時間を過ごしていた俺の側にはランセルとハリスがいる。  その両名を見ながら、俺は本能的に分かる事を口にした。 「産まれるな」 「「……えぇ!!」」  産む側が焦りもしないってのに、何もしない側が大パニックってのはどうなんだ。  溜息をつく間も腹部に走る痛みは徐々に強くなる。それでも耐えられないわけではなく、俺はいたって冷静だ。  そもそも獣人というのは本能的にこうしたことを知る種族だ。だいたいが放っておいても産まれてくる。 「お前ら落ち着け」  だがランセルはオロオロしたかと思えば何を思ったのか俺の手を握ってキリッとした顔をした。 「大丈夫です、グラースさん」 「意味が分からん!」  こうしている間にも痛みの感覚が縮まり、徐々に痛まない時間がなくなってくるというのに。 「お前ら落ち着け! まずハリス、食い物持ってこい」 「この期に及んで食い物っすか!」     
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